そうべつ手帖

京都でのワイン醸造研修

壮瞥町地域おこし協力隊のガスです。
10月の活動をレポートします。

丹波ワイン株式会社様でのワイン醸造研修

壮瞥町で醸造用ブドウの試験栽培を行っている丹波ワイン株式会社様の圃場が収穫を迎えました。
白ワイン用品種「ピノ・ブラン」を中心に、壮瞥町の気候風土に合う栽培方法・品種の選定を行っています。

樹の生育も順調で、昨年に比べ倍以上の収穫量となりました。

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収穫の様子

今回の収穫に合わせて、町内の果樹園で栽培された生食用品種「キャンベル」の醸造も行うことになり、
私たちが普段活動で使用している車、通称"協力隊号"にブドウを積み込み、フェリーで京都の丹波ワイン株式会社様へ向かいました。

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トラックに積み込んだ「キャンベル」(上)、京都にある丹波ワイン株式会社(下)

「ピノ・ブラン」の醸造

試験栽培の中心となっている「ピノ・ブラン」は、国内ではあまり栽培されていない品種で、
ブドウ自体の味の個性が強いタイプではなく、醸造を工夫することでより美味しいワインに仕上げることができます。

そのため、丹波ワイン株式会社様では「ピノ・ブラン」を「シュール・リー」と呼ばれる製法で醸造しています。
(シュール・リーとは発酵後にオリ引きせず、オリの上で熟成させる製法)

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ベルトコンベアで専用の機械に運び入れ、除梗・破砕を行います

酵母と亜硫酸を添加、果汁と一緒に実と皮を3日間漬け込みます(かもし仕込み)。
一日三回、表層を混ぜて(櫂入れ)管理し、圧搾後、樽に詰め込んで発酵を行いました。

その後、マロラクティック発酵、シュール・リーでの樽熟成(6~7ヵ月)を経て、
オリ引き、瓶詰して完成します。

「キャンベル」の醸造

「キャンベル」も「ピノ・ブラン」と同様に除梗・破砕を行いますが、
今回は全体の16%のみ除梗・破砕し、全房のままの残り84%と共にタンクに漬け込む「マセラシオン・カルボニック法」と呼ばれる処理を行いました。

これはボジョレー・ヌーヴォーと同じ早飲みタイプの製法で、
発生した炭酸ガスでタンク内が充満され、渋みの少ないフレッシュな香りのワインとなります。

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5日間ほど「マセラシオン・カルボニック法」を行った後、圧搾を行いました

その後、発酵を経て、オリ引き、瓶詰して完成となります。

また、醸造と並行して果汁の成分分析を行いました。

比重(糖度)、PH、滴定酸度、YANを科学的に分析し、
果汁や発酵の状態を把握して、品質管理に役立てています。

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科学的に成分を分析(上)、樽熟成と瓶詰の様子(下)


改めて丹波ワイン株式会社様に壮瞥町産の醸造用ブドウの品質を伺ったところ、

・冷涼な気候のため農薬散布量が通常よりも少ない
・果実の状態が綺麗で亜硫酸の添加が通常よりも少ない
・酸がしっかり残っている
・糖度もしっかり上がっている 

など高評価でした。

今回、栽培から醸造まで研修を行うことで、壮瞥町で高品質な醸造用ブドウが生産できることを実感できました。
今後、壮瞥町での高品質な醸造用ブドウ栽培が拡大することを期待したいと思います。

壮瞥町産「ピノ・ブラン」、「キャンベル」のワインは2021年発売予定です。
詳細が決まりましたら壮瞥町のInstagram、Facebook、ブログ等でもお知らせします。


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