そうべつ手帖

【ヒグマトラックキット】ヒグマのおはなし会

こんにちは。北海道壮瞥(そうべつ)町地域おこし協力隊"おしみ"こと、清水です。

2023年5月。北海道ではヒグマが活動的になる季節。室蘭市ではクマの目撃情報が相次ぎ、人への被害が懸念されるとして「ヒグマ注意報」が発出されました。特にこういう時期はニュースで取り上げられることも多いので「必要以上にヒグマに対して恐怖心が増すのではないか。できることなら正しく怖がって欲しい」と感じている私です。それと同じくらい「(熊好きとして)何かできることはないか?」と模索していました。

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『ヒグマの時間』を開催!

そこで思いついたのが、ヒグマの生態を知ってもらうおはなし会『ヒグマの時間』を開催すること!(こういった文章を打つのは好きなのですが、実は人前で自分の思ったことを整理してお話しするのはものすごく苦手。なのにおはなし会をする私ってどうかしてるかもしれません笑)
たくさんの人が言う「爪が鋭くてこわい!」も「ヒグマの爪が長い理由」として知れば腑に落ちて、少しは怖くなくなるかも!そう思い「日本クマネットワーク(JBN)」様から【ヒグマトランクキット】をお借りして2023年5月27日(土)に開催しました。

【ヒグマトランクキット】とは?
北海道を代表する生き物であるヒグマを中心に野生動物や自然について学ぶ教材として発案されたもの。
ヒグマの頭骨や毛皮をはじめとする標本類のほかに、調査道具やヒグマ対策のための道具など、クマに関するさまざまなものが入っています。

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本物のヒグマの毛皮を観察する様子

ヒグマは1年に2回毛が生え換わり、夏にはふわふわの綿毛が抜け落ちます。画像はそれを踏まえて【ヒグマトランクキット】の中に入っているヒグマの毛皮(体重350㎏台)の"毛"を観察している様子です。

今回【ヒグマトランクキット】を使ったのには理由があります。それは「実際に触れてもらいたかった!」から。
実際のヒグマの毛皮や頭蓋骨に触る機会ってなかなかありませんよね?冬眠から出てきた頃の子ぐまの体重(5㎏)と同じぬいぐるみも入っていたのですが、"文字で見る""耳で聞く"だけじゃなく"体感して"知れるんです。そこは私自身【ヒグマトランクキット】が「良いな!」と思ったおすすめポイントです。

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ヒグマの頭蓋骨(レプリカ)をじっくり観察

ヒグマの大きな頭蓋骨。オオカミの頭蓋骨(ぺプリカ)やシカの下顎と比べながらそれぞれの歯の形や特徴を観察してもらいました。ヒグマはオオカミなどと同じ肉食動物の仲間です。しかしオオカミの歯とは形が違いました。それよりも私たち人間の歯によく似ていました。動物的な分類では「肉食」でも実際の食事は肉も草も食べる「雑食」。そのため奥歯が草をすりつぶせる形になっているんです。肉を食べるイメージの熊。歯を見るだけで彼らの食事がどんなものかが分かるんです!「歯」って面白いでしょ?

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壮瞥版『ひぐまっぷ』をのぞき込む参加者

実はこの日の為に壮瞥町役場・産業振興課の蛯名主幹にお願いして、今年(2023年)を含む過去4年分のヒグマ情報を盛り込んだ壮瞥版の『ひぐまっぷ』を製作していただきました!(無理を言ってすみません。ありがとうございました。)
『ひぐまっぷ』には月日、場所、詳細(目撃、爪痕など)も記載され、地図上で見られたことで熊がどのような場所を移動するかなどがよくわかりました。参加してくれた「キコリワークス」は普段森でお仕事する機会も多いので、みなさんも食い入るように見ていました。町内放送で「〇〇(住所)に熊が出ました」というのもとても大事ですが、別の形で可視化した情報が町にあると良いよね!という意見も出ました。

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「森でヒグマに会ったらどうする?」のロールプレイング

最後は私がヒグマ役になり、参加者を巻き込んで笑「ヒグマが棲む森を歩く」ロールプレイングをしました。
「ヒグマに会ったらどうする?」だけど、まずは"会わないようにすること"が大事!ヒグマに人間がいることを知らせることや(ヒグマは基本的に憶病で人間に気付くと隠れると言われています。)そして会ってしまった時「①静かに去る」「②走って逃げる」でヒグマがどんな行動を取りやすいかをヒグマになりきり参加者の方に見ていただきました。

それでも100%というものはないので(熊も人間と同じで環境などで性格や行動も違います。)、色んな事例を知っているだけで選択肢のようなものが増えます。もしもの時には役立つかもしれません。(本当はその"もしも"は来ない方がいいのですが。)

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"熊側の人間"

今回このおはなし会を開催して参加者の方からは「ヒグマのことを知れて面白かった」「勉強になった」「知っているようで知らないことが多かった」などの感想を聞くことができました。ヒグマは北海道民にとって身近な存在。参加者の大半が森でお仕事をしたり、(アウトドアなどで)山に入る機会が多い方たちでした。普段からヒグマに関心がある方たちからそういった言葉を聞けたのはとても嬉しく「(人前で話すのが苦手ながらも)やってよかった」と思える瞬間でした。

熊のことを少しでも知って関心を持った人は「人目線」だけでなく「熊目線」も加わり視野が広がると思います。私はそれよりももう少し"熊側の人間"でいて、これからも熊のことを小さくても伝えていけたらと思っています。

最後に。
"つたない"おはなし会にお集まりいただいたみなさま、ありがとうございました。

【地域のあそびば ミナミナ】
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