そうべつ手帖

洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパークアドベンチャー体験「持続可能な社会を学ぶためのSDG'sツアー」の体験モニターに参加しました

こんにちは、地域おこし協力隊の鎌田です。

9月26日(木)、洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパークアドベンチャー体験「持続可能な社会を学ぶためのSDG'sツアー」の体験モニターとして、ツアーの一部に参加してきました。

今回参加したのは、洞爺湖ウチダザリガニ調査捕獲体験学習です。
洞爺湖の在来種の生態系を乱すウチダザリガニの捕獲を見学・観察を行い、最後にウチダザリガニを使用した料理をいただきました。
外来種を駆除するだけでなく料理としていただくことでSDG'sについて学べる体験学習となっています。

まずは、洞爺湖でウチダザリガニの捕獲・引き上げを見学しました。
ウチダザリガニは特定外来種生物のため、特別な許可をもっている方しか捕獲や移動などといった行為ができません。
(※特定外来生物は飼育・栽培・保管・運搬・輸入・販売・譲渡・野外に放つことなどが原則として禁止されています。 これらの項目に違反した場合、最高で個人の場合3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、法人の場合1億円以下の罰金が科されます。)

240927_tk_01.jpg


また、罠に関しても解説いただきました。
この網の中に餌を仕掛け、それにつられて網の中に侵入したウチダザリガニを閉じ込める仕組みになっています。
餌はサクラマスの粗やドッグフードで、穴を複数空けた容器の中に入れて使用しているそうです。
昔は秋刀魚の粗を使用していたそうですが、近年、秋刀魚が不漁のため、餌を変更したとのことです。
ドッグフードもなるべく環境に優しいものを使用しているそうです。

240927_tk_02.jpg

捕獲・引き上げ見学のあとは観察を行いました。
観察項目は捕獲したウチダザリガニの性別確認、全長・頭胸甲長・重さの計測でした。

性別の見分ける方法は、腹裏に生殖器が付いていればオス、無ければメスで判断できます。
また、メスはオスに比べて尾ビレの幅が広い(卵を抱えるため)ので、これを判断基準にしても良いそうです。

240927_tk_06.jpg240927_tk_03.jpg240927_tk_05.jpg240927_tk_04.jpg


観察を終え、道の駅そうべつ情報館アイに移動しました。
ここでは、洞爺湖生物多様性保全協議会の室田欣弘会長の講演会に参加しました。

240927_tk_07.jpg

洞爺湖でウチダザリガニが初めて発見されたのが、2005年9月。
テレビ局が洞爺湖の水中撮影を行っている際、偶然発見したそうです。
この時、室田会長はコーディネーターとして船を出しており、その現場に居合わせていました。

この年から、グリーンワーカーとしてウチダザリガニの駆除を開始、初年度は1,367尾のウチダザリガニを捕獲。
2008年から本格的に駆除活動を始動し、2010年には100,114尾捕獲。
活動範囲、人手や罠が増えたこともあるそうですが、数年で約100倍の捕獲量...すごいですね。
(2023年は64,980尾のウチダザリガニを捕獲したそうです)

また、明らかにウチダザリガニの生息範囲が広がっていることがわかり、ウチダザリガニの尾びれにリボンタグを用いて移動特性の調査も行ったそうです。
基本的には移動範囲が狭いことがわかりましたが、稀に3ヶ月で2km以上移動する個体もいたそうです。
少し写りが悪いですが、下記が2015年までと現在のウチダザリガニの生息範囲です。

240927_tk_08.jpg240927_tk_09.jpg

生息範囲でない場所がいくつかあります。
理由は、ブラウントラウトなどウチダザリガニの天敵となる魚体の生息地と関係があるそうです。
ぼくは洞爺湖で釣りをしますが、東湖畔でニジマスやブラウントラウトの釣果が多いので、この結果は納得できます。

さらに、水草被食実験を定点カメラで撮影した資料も拝見しました。
日没後、水草にウチダザリガニが複数集まってきて、水草を一晩で食い尽くしてしまいました。
彼らの食スピードと食事量に驚愕しました...

様々な調査結果を見させていただき、ウチダザリガニの脅威を十分に感じました!

室田会長は、「外来種を根絶させることは非常に難しい。だが、コントロールをして仕組みをつくることはできる。そうやって、固有種を守っていく。」と、おっしゃっていました。

実際に、近年複数の場所でワカサギの数が減っているそうですが、洞爺湖はワカサギの数が増えているとのことです。
これは、室田会長や洞爺湖の環境を守る活動をなさっている皆さまのおかげだと改めて実感しました。

そして、講演後は洞爺湖 鶴雅リゾート 洸の謌 水のラウンジ「洸響」に移動し、ウチダザリガニを使用したスープを試飲させていただきました。
カニの風味を感じるクリーミーなスープで、なにも聞かされずに飲めば、まさかザリガニを使用しているとは思えないクオリティーでした。

240927_tk_11.jpg240927_tk_10.jpg

アドベンチャーツアーは、地域独自の自然や地域のありのままの文化を体験し、自身の自己変革・成長の実現を目的とする、新しい旅のスタイルと言えます。

僕も過去に東南アジアのローカルエリアを旅し、現地の生活を目にすることもありましたが、ここまで濃厚な経験はできませんでした。

ただ観光するだけでは物足りないという方にはピッタリなツアーだと思いました。

今回はモニター体験でしたが、今後こういったアドベンチャーツアーが広まり、多くの方に体験していただけることを願っています。

関連記事
TOP