そうべつ手帖

東京2020オリンピック 応援プロジェクト③

皆さん、こんにちは。
壮瞥町地域おこし協力隊の中岡です。

壮瞥町はTOKYO2020オリンピックにおけるフィンランド競歩チームのホストタウンになり、様々な応援プロジェクトを実施しました。
これまでにご紹介したプロジェクトはこちらです。
令和3年9月22日 東京2020オリンピック 応援プロジェクト①
令和3年9月29日 東京2020オリンピック 応援プロジェクト②

今回は、応援プロジェクトの中でも特に思い出深いプロジェクトをご紹介します。
それはこちらです!

世界のおもてなし料理レガシープロジェクト

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これは、レシピを開発してオリンピック・パラリンピックのチームが来日したときに食でおもてなしをしよう!という企画です。
内閣官房の東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局が実施した事業であり、壮瞥町からは「キートスクラブ&フィンランドチーム応援隊」がチームを組んで参加しました。

食糧費のサポートだけでなく、取組の様子を内閣官房の専用サイトで発信してくれたり、プロの料理研究家の先生がレシピのカロリー計算をしてくれたり、アドバイスをくれたりしました。
また、後日、出来上がったレシピを東京にあるレストラン(株式会社八芳園様)が再現して、内閣官房やフィンランドの大使館の人などを招いて、出来上がった料理をオンライン越しで一緒に食べながら、壮瞥町のことを国内外に紹介することができました。(詳しくは記事後半部分をご覧ください)


なぜ参加したのか?

以前の記事でご紹介した通り、TOKYO2020オリンピック・パラリンピックのホストタウン制度はただ海外チームを受け入れて応援するだけの制度ではありません。
その地域における異文化交流の促進や活性化を目指すという目的があります。

壮瞥町では、ホストタウン制度を活用することで、フィンランドとの交流活動の幅や交流の場を広げたいという強い思いがありました。その思いがあったからこそ、世界のおもてなし料理レガシープロジェクトにも新たな取組の一環として参加申請を行うことにしました。

そしてプロジェクト内容を記載した参加企画書を内閣官房へ送付し、

めでたく採択され、事業への参加が決まりました!

実はホストタウンって北海道を含む全国に500を超える自治体が登録されていますが、この料理プロジェクトに参加しているのは、全国で壮瞥町を含めて23市町村。北海道では壮瞥町だけなんですよ!

さて、今回のプロジェクトの内容はこちらです。
①料理レシピ開発
②試作&試食
③オンライン交流会


①料理レシピ開発

今回はコロナウィルス感染対策の観点から、キートスクラブの皆さんおよびフィンランドチーム応援隊の皆さんに限定してお声がけしました。
そして、フィンランドの皆さんが喜んで頂けるようなメニューを開発しました。
食材はもちろん、地元の食材にこだわりましたよ!

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開発したメニューはこちらです。

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○鹿肉のマッシュポテト添え

壮瞥町はフィンランド ラップランド地方に位置するケミヤルヴィ市と友好都市を締結をしており、
その地方ではPoronkäristysというトナカイ肉にマッシュポテトを添えた伝統料理が良く食べられています。

トナカイと鹿肉が類似していることから、相手国の食文化を学びつつ、アスリート向けに美味しくヘルシーに食べる工夫をしました。

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スモークで油を使わない方法で調理しました。

鹿肉は肉類の中でも特に栄養価が高く、鉄や亜鉛を多く含んでいて、豚肉や牛肉に比べてカロリーは3分の1、脂肪分においては15分の1とかなりヘルシーです。
エネルギー生産に必要不可欠な物質であるカルニチンとアンセリンが含まれており、疲労回復作用があるのでスポーツ選手から注目されているそうです。

エゾシカ増加問題にも着目

壮瞥町近郊の地域ではエゾシカの増加問題があり、鹿の肉を食べることによって、生態系を守れたり、森林被害を減らすことができ、環境を守ることにつながります。
食材を通して(エゾシカの現状など)壮瞥町や北海道の自然や歴史を紹介できると共に、フィンランド人選手が母国を思い出し、ほっとした気持ちになってもらえるよう、フィンランドで国民的に愛されている料理を北海道風にアレンジし、良い結果に繋げてもらいたいと思いこのメニューにしました。


ジビエ&コミュニティカフェ『シカトモ』

今回、鹿肉を提供してくれたのは、北海道伊達市大滝区 元地域おこし協力隊の天野さんが経営する「ジビエ&コミュニティカフェ『シカトモ』」さんです。

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オーナーの天野さんは鹿猟師として、駆除したエゾシカを捌くところから調理まで一括して行っています。
「残すところなくきちんと食べることで、命をいただくことの大切さを伝えつつ、ジビエを大滝の特産として商品化し、広く日常の食生活に普及させ、同時に、農林業被害・交通事故の軽減も目指したい!うまく調理すれば鹿って本当に美味しいんですよ。」そんなことを以前天野さんが熱く語ってくれたのを思いだし、頼むならこの人しかいないと思っていました。

このプロジェクトの実施が決まってからすぐ、シカトモさんにお邪魔しました。
油を使わないヘルシーな調理方法として、スモークで鹿肉を調理する方法を教えてくれたのも天野さんです。
天野さん、ありがとうございました。

当日はキートスクラブの会員である鹿猟師の方も来てくれて、鹿肉を捌いてもらいました。

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20211008_na_olympic17.JPGとても柔らかく調理できました。

フィンランドでは通常、トナカイ肉にコケモモソースをつけて食べるのですが、近くにコケモモはないということで、JGAP食材である壮瞥高校が作った「トマト」を使って町内農家さんが作っているジャムと混ぜて似た味のソースを作りました。

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フィンランドのソースに似せるために試行錯誤中。もちろんこれは完成ではありません。


○お祝いちらし寿司

五輪出場をお祝いして、地元で採れた魚を使ったちらし寿司を作りました。
寿司はフィンランドでも大人気の日本料理です。でも、ちらし寿司ってあまりフィンランドでは見かけないんです。
日本の家庭料理であり、お祝いの席で食べられることが多い「ちらし寿司」をぜひ知ってもらいたい。
そして、その「ちらし寿司」でぜひ五輪出場をお祝いしたい・・・
そんな思いからこちらのレシピも作りました。
なお、この「ちらし寿司」は見た目も楽しく美しいケーキに見立てた「寿司ケーキ」として作成しました。

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デコレーションが上手な参加者の方がムーミン型やお花型に野菜を抜き取ってくれました。これで見た目も華やかですね。

○フィンランド人の愛するブルーベリータルトと壮瞥高校のJGAP食材であるトマトを使ったトマトジェラード

もちろん甘いデザートは必須ですね。
フィンランド人の国民的デザートであるブルーベリータルト。
壮瞥町の太陽をしっかり浴びて育ったブルーベリータルトを再現し、フィンランドチームにも参加者にも喜んでもらいたいと、これは欠かさずにメニューに加えました。
そして、フィンランド人が大好きな冷たいアイスを壮瞥高校が作ったJGAP食材である「トマト」を使って「トマトジェラート」を作ることにしました。

トマトジェラートは、トマトを冷凍し、壮瞥町産のりんごジュースを混ぜて作りました。

そして参加者のみなさんの素晴らしいチームワークで全ての料理が時間通りに完成!

完成した料理はこちらです。
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②試食タイムです

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参加者の皆さんから感想を聞きました。

試食中に皆さんにお話を聞きましたところ、こんな感想をお話してくれました。

・自身もフィンランドに行ったことがあり、現地の方にお世話になった。今回は逆の立場でおもてなしができることがうれしい。良い機会を与えてくださりとても嬉しい。
・私が生きているうちに日本でオリンピックが開催されることは恐らくこれが最後。それも今回は壮瞥町と長年交流のあるフィンランドチームが訪問してくれることになり、とても嬉しい。何か関わりたかった。町民に声をかけてくれて、参加する機会を与えてくださりとても嬉しい。できることで応援していけば良いのだと思った。
・料理がこんなに楽しいとは思わなかった。いつも妻に任せきりで料理は苦手で、参加に不安があった。でもみんなで助け合ってとても楽しかった。日本の食文化を分かってもらえれば嬉しい。
・今回参加すると決めてフィンランドに更に興味を持った。図書室で本を借りたが、自分の本にしたいと思い、注文した。これをきっかけに勉強していきたい。
・(トマトを提供してくださった高校より)普段、生徒達は販売する際、地元の方や出店時には購入者の顔を見て、食卓等で食べられることはある程度想像できるが、今回のような道外、そして外国の方に自分たちの作ったものが食べられ、それが文化交流になるということはとても良い勉強になると思う。声をかけてくださりありがとうございました。
・応援プロジェクトという形で自分たちも楽しませて頂き、このようなイベントを企画してくださり嬉しい。2回目、3回目も期待している。

ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました。

③オンライン交流会

令和3年7月29日(木)13:00~14:00 
ヨーロッパ大陸チームとしてオンライン交流会に参加しました。
参加された市町村は下記の通りです。

【千曲市、西条市、岐阜県(各務原市)、壮瞥町】

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フィンランド大使館からも2名参加してくれました。
この交流会では、各地の参加者が作製したおもてなし料理レシピを元に株式会社八芳園のシェフが調理した料理を各地に郵送し、それを画面越しに一緒に食べるというものでした。


壮瞥町のレシピからは、壮瞥高校のトマトを使った、お祝いちらし寿司が選ばれました。

この交流会の日は実はフィンランド競泳選手がTOKYO2020オリンピックで初めての銅メダルを取った日でした。
フィンランド大使館の方はトマトを使ったちらし寿司の味を喜んでくれるだけでなく、
「こんなに嬉しい日にお祝いちらし寿司はぴったりですね。」と、とても嬉しいコメントも残してくれました。

壮瞥町とフィンランドの交流を紹介するだけでなく、他の市町村や大使館の方とも交流することができて、
とても有意義な日になりました。
ちなみに、ここでお会いした大使館の方とは、オリンピック後も情報提供をくださり、壮瞥町のことを知ってもらい、新たに繋がることが出来ました。

おもてなし料理は後日宿泊施設で実際にフィンランド選手に提供されました。

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フィンランドチームが滞在中に、宿泊施設のペンションおおのさんは、鹿肉のマッシュポテト添えを提供してくれました。チームの皆さんはとても喜んで、すぐに売り切れになりました。

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内閣官房の専用サイト「世界のおもてなしレガシープロジェクト」でも紹介中

今回ご紹介しましたレシピや写真が下記に掲載されています。
どうぞご覧ください。
詳しくはこちら

参加出来て得られた成果

おもてなし料理試食会では、トマトを提供してくださった高校や宿泊施設のシェフも来て参加してくださり、各所と関係を築くことができました。
そして、その後もフィンランド大使館や他市町村の方と関係が深まりました。
何より、参加者同士が楽しく料理をして交流が出来たことが大きな成果だったと思います。
参加出来て本当に良かったです。
ご協力くださった全ての皆様に心より感謝しています。
ありがとうございました。

【記事中にご紹介したお店はこちら】

ジビエ&コミュニティカフェ『シカトモ』
北海道伊達市大滝区優徳町47-21

https://www.facebook.com/shikatomo.otaki/

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