そうべつ手帖

東京2020オリンピックを終えて

みなさん、こんにちは。
壮瞥町地域おこし協力隊の中岡です。

壮瞥町はTOKYO2020オリンピックにおけるフィンランドのホストタウンになりました。

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令和3年7月19日より31日まで、フィンランド競歩チームが壮瞥町で事前合宿を行いました。
※オリンピックに関する詳細記事は下記リンクをご覧ください。

1:令和3年1月25日東京五輪のホストタウン登録にむけて
2:令和3年3月11日壮瞥町がフィンランドのホストタウンに登録!
3:令和3年6月11日フィンランドのホストタウンとして
4:令和3年6月18日フィンランド選手を応援しよう!企画①②③


これからこちらのブログで、壮瞥町がホストタウンに関して取り組んだ様々なことをご紹介していきたいと思いますが、まず始めに、ホストタウンの取り組みを終えて私が感じたことをお話したいと思います。

●30年という長きにわたり築いてきた交流の歴史の1ページに

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○町民の皆さんから教えてもらったこと

ホストタウン制度を通し、フィンランドチーム応援隊やキートスクラブをはじめとする多くの町民の皆さんと関わり、様々なお話や思いを聞くことができました。
その中で、壮瞥町が築いてきた30年間というフィンランドとの長い交流の歴史は何物にも変えられない貴重な財産であることを学びました。
そして長年の交流という背景があったからこそ、町民の皆さんの温かい想いが生まれ、町全体の歓迎の雰囲気がフィンランドチームに伝わったのだと思いました。

フィンランドチームは安全に配慮したコース選定など、私たちのおもてなしをとても喜んでくれました。

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コロナ禍の現状において、直接の交流が難しく、対面交流の企画ができなかったことを残念に思っていますが、事前合宿が問題なく無事終われたのは、日頃からの壮瞥町民の皆さんの感染対策への取組や、ホストタウン受け入れへの理解のおかげです。担当として心から感謝しています。



○信頼関係があったからこそできたホストタウン締結

壮瞥町は1993年以来、フィンランドラップランド州 ケミヤルヴィ市の友好都市です。

ケミヤルヴィ市との友好都市締結以降、壮瞥町とフィンランドは様々な交流を通して歴史と深い絆を作ってきました。壮瞥町はこの30年間で多くのフィンランドの皆さんから、たくさんのことを学び、温かいおもてなしを受けてきました。そんな皆さんに恩返しがしたい・・・その思いが、ホストタウンとして手を上げた理由であり、壮瞥町はこの思いを常にフィンランドオリンピック委員会に伝えるようにしてきました。

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競技を終えた日、担当者とはじめて直接お話する機会がありました。
コロナ禍で先が見えない中でもお互いが前向きに、そして一貫性を持ち信頼しあえたことを話し、気持ちを分かち合うことが出来ました。

チームリーダーである担当者は、
「令和2年9月に始めてメールをもらった時は、北海道に競歩・マラソンチームの事前合宿候補地が4カ所あり、どこも訪れたことがなく、どこにするか決まっていなかった。それでも壮瞥町を事前合宿にと決めたのは、情報をしっかりもらえて、信頼できたからだった。ケミヤルヴィ市とのこれまでの長年の交流も感動した。下見に1回も訪れずに事前合宿を行ったのは今回が初めてだったが、たとえ下見に5回来ようが、10回来ようが、関係なかった。いつも親身に寄り添ってくれた方々がいたからこそ成功したと確信している。それは何回訪問したところで変わるものではない。」と話してくれました。

これまでの取り組みでお互いが大切にした信頼関係があったからこそ、ホストタウンの取り組みが成功したということはとても感慨深かったです。



●心と心の交流

笑顔で声を掛け合ったり、相手のことを想いやり、そして、できる限りのサポートをし、気持ちを分かち合うことで、信頼関係が生まれることも肌で感じました。

フィンランドチームの皆さんは常に嬉しさや喜びを隠すことなく表現してくれました。
そして身体全体で喜びを素直に表現する姿はどんな言葉よりも相手の心に届き響くことを教えてもらいました。

そんな交流の姿を近くで見られたのは、私にとって何事にも変えられない喜びとなりました。

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○フィンランドの国営放送でも取り上げられ、壮瞥町の取り組みは国内外に知れ渡りました。

フィンランドチームは温かく歓迎されたことをフィンランドの新聞やニュース、SNSなど、各方面に壮瞥町のことを紹介してくれました。
なんとフィンランドの国営放送にも紹介してくれましたよ。
これは長い歴史の中でも大きな事であり、壮瞥町として後世に誇りを持って伝えていけることだと思います。

こちらについては、令和3年7月30日に同じ壮瞥町地域おこし協力隊である情報発信担当の清水さんが記事をレポートにしてくれました!(こちらをご覧ください。

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●間に立つ立場として学んだこと

私は令和2年9月1日から壮瞥町で勤務を開始してすぐに、フィンランドオリンピック委員会の各担当者とメールでのやりとりを開始しました。オリンピック開催が近くなると、メディア担当、栄養士、事務局長など、様々な方との情報交換を行いました。

その数は400通を超え、オンライン会議も3回行いました。

20200125_Tokyo_NA (Large).JPG令和2年12月:フィンランドオリンピック委員会とのオンライン会議にて



○フィンランドチームと合流してからは通訳として

コロナ禍で多くの制約があり、厳しいことも明確に伝える必要がありました。
その中で、正確に情報を伝えることはもちろん、文化や気質の違いを尊重し、押しつけないことが大切です。

言葉の選び方だけでなく相手の文化を考慮しながら、お互いの気持ちを繋げることの難しさもたくさん学びました。

至らない点もありましたが、ただ双方から聞いた言葉を伝えるだけでなく、クッション言葉を入れたり、行間に隠れた理由をしっかり伝える事を重視して行い、それが信頼関係の構築に繋がることを肌で感じました。


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○「伝える」×「繋げる」ことを大切にして


今回、私が注力した点は、壮瞥町とフィンランドチーム、双方の思いを伝える事です。

実はフィンランド側も日本や壮瞥町がどのように感じて受け入れたかとても気になっていたようで、
その点について多く聞かれました。

これまでの道のり、そして私たちからどんな思いがあったか。
必要な業務上のやりとりのほか、そんな話をたくさんし、「伝える」そして「繋げる」ということの重要性を理解した上で、重視して行いました。

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例えば千羽鶴の取り組みも。
こちらについては、改めて後日ご紹介します。


室蘭民報様が素敵な記事にしてくれました。

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(令和3年8月5日(木)室蘭民報 朝刊)PDFはこちら→210805_muromin.pdf

○相手の言葉や文化に歩み寄る大切さ

今回は主に英語で通訳を行いましたが、私はフィンランドに住んだことがあり、フィンランド語を少し理解し、話すことができます。今回フィンランドチームからは、フィンランド語が少し分かり、そしてフィンランド人の気質を分かってくれる人がいることが安心できたと言ってもらいました。

一方で、フィンランドチームが日本の事を聞いてくれたとき、また一生懸命覚えた日本語で挨拶をしてくれたとき、日本人は自然と笑顔になりました。フィンランド人にとって母国語ではない英語を話すことが最大限の誠意であるのにも関わらず、やはり頑張って日本語を話す姿はとても嬉しくなりました。

相手との距離を縮めるためには、相手の文化を知り、また一言でも二言でも相手の国の言葉を多く話すことが大切です。
そして私たちがその努力をしたとき、違う世界が見えてきます。
相手について興味を持つ、想う、歩みよることで、交流の可能性が大きく広がります。

私は個人的にフィンランド文化や自然が好きです。これからも好きだけでなく、フィンランド語の勉強を続け、何年後先になるか分かりませんが、いつかフィンランド語と日本語でしっかり通訳が出来る様になりたいなと思いました。

ホストタウンの取り組みは長い歴史の1ページです。


フィンランドと築いてきたこれまでの長年の歴史を一壮瞥町民として誇りに想います。

今回の東京2020オリンピックでは、壮瞥町はフィンランドとの歴史や交流を繋げるだけでなく、国際社会の中で、スポーツにおける大きなイベントの一端を担いました。

壮瞥町ではスポーツ推進計画で「スポーツで明るく元気に持続するまち」という目標を掲げています。
このホストタウン制度をきっかけに、壮瞥町ではスポーツで人づくり&町づくりの一環としても、今回結んだ絆を未来に繋げていきたいと強く想います。

●やりがいを感じながら仕事が出来た喜びを次へ

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私自身、今回の業務では、これまでの人生で得た知識や経験を生かすことができ、
日本とフィンランドの架け橋として業務を全うできたことは私にとって最大の幸せでした。

プライベートでも仕事でも何かに心を込めて取り組めることは素晴らしいことであり、今回そんな業務に携わることができ、心より感謝しています。
これからも何事にも一生懸命集中しながら日々の業務に取り組み、地域活性化の推進、壮瞥町とフィンランドとの人的・経済的・文化的な相互交流を図れるよう努めて参ります。

そして、対フィンランドだけでなく、視野を広げて各国の国際理解に携ることが大切だと考えます。
今後壮瞥町の子どもたちに、英語の必要性や可能性、国際交流の楽しさや素晴らしさを、可能な限り伝えていきたいです。

これからもこちらのブログで、選手のインタビューや応援おもてなしプロジェクトなどを紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

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