そうべつ手帖

【イベントレポート】令和7年度第2回 子ども郷土史講座「昭和新山に登ろう!」

こんにちは!地域おこし協力隊の鎌田です!

6月14日(土)、令和7年度第2回子ども郷土史講座「昭和新山に登ろう!」が開催されました。
(主催:壮瞥町教育委員会/協力:NPO法人有珠山周辺地域ジオパーク友の会)

今回の講座は、昭和新山を実際に登りながら、私たちが共に生きる火山への理解を深めることを目的に行われています。

当日は、三松三朗氏(三松正夫記念館館長)と、三松靖志氏(洞爺湖有珠火山マイスター・壮瞥町商工観光課課長)を講師に迎え、壮瞥町のシンボルでもある昭和新山の誕生秘話や、火山の不思議について学びました。

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三松正夫像と「麦圃生山」(麦畑山ヲ生ズ)

そもそも昭和新山ってどんな山?

昭和新山は、昭和20年(1945年)に、麦畑から誕生した日本でも珍しい"生まれたての火山"です。
活動当時の様子を克明に記録した「ミマツダイアグラム」は、世界的にも高く評価されており、記録者である三松正夫氏の功績は今も語り継がれています。

当時、郵便局長だった三松正夫氏は、麦畑の異変をきっかけに、隆起や地震の様子を徹底的に観察しました。
例えば、地震の回数を小豆や大豆、大福豆を皿に入れて数えたり(地震の大きさによって、皿に入れる豆の大きさを変えた)、台に顎を乗せて視点を固定し、山の形の変化を毎日記録したりと、独自の方法で観測を続けました。
こうしてまとめられた「ミマツダイアグラム」は、火山活動の貴重なデータとして今も活用されています。

さらに三松正夫氏は、昭和新山を守るため、1946年(昭和21年)に私財を投じて土地ごと昭和新山を購入し、天然記念物への指定を推進しました。
この行動により、三松正夫氏は「世界で唯一の活火山の所有者」としても知られています。

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三松三朗氏(三松正夫記念館会長)
昭和新山の成り立ちや、三松正夫氏の生涯を解説していただきました

いよいよ登山スタート!

当日はお天気にも恵まれ、爽やかな風と新緑が心地よく、絶好の登山日和でした。

道中では、岩の亀裂から立ち上る温かい蒸気に触れ、「生きている火山なんだなぁ」と改めて実感。

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三松三朗氏の解説を真剣に聞く参加者の皆さん

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蒸気に手を当て、温かさを確かめる参加者


また、いたる所で川の石である丸石が点在しており、山が隆起するはるか昔はこのあたりまで"長流川"が流れていたことなど、地形の変遷を感じることができました。ちなみに、山頂にも丸石が残っているそうです。

昭和新山が赤く見えるのは、かつて畑の土が800〜900度の熱で一気に焼き固められ、まるでれんがのような色になったからだそうです。

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昭和新山の成り立ちを説明する三松靖志氏

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登山途中から見た頂上。見える石の形は...ライオン!?カピバラ!?

現在の昭和新山の高さは398mで、誕生当初より約9m低くなっています。
これは風雨による浸食や、マグマの熱供給が収まったことで山体が少しずつ沈んでいるためです。

子どもたちも大人も、時折足を止めては三松靖志氏の丁寧な解説に耳を傾け、昭和新山の不思議に触れていました。

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昭和新山が産声をあげた時の再現を、子どもたちにもわかりやすいようにジェスチャーで解説

山頂からの絶景とお楽しみランチ

山頂からは、壮瞥町をはじめ、有珠山、洞爺湖、さらには遠く羊蹄山まで見渡すことができ、頑張って登った分だけのご褒美のような大パノラマが広がっていました。

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山頂で記念撮影

「いつもの町並みが、上から見るとまた違って見える!」
そんな声があちこちで聞こえ、参加者の笑顔がとても印象的でした。

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山頂で多方向の雄大な景色を味わいました

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出発地点の駐車場が小さく見えます

このあと、火山の地熱で温めたランチをみんなで楽しみました。
登山後に味わう熱々のご飯と絶景の組み合わせは、格別の美味しさでした。

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昼食後は下山する際の注意点をしっかりと聞きました

記念館で学ぶ三松正夫氏の思い

下山後は、三松正夫記念館を見学し、三松三朗氏から改めて三松正夫氏の生涯や活動についてお話を伺いました。

「正夫さんは、自分で考えて突き詰める。学ぼうとする姿勢を大事にしていた。」

三松正夫氏の記録や展示品からは、そんな探究心と情熱がひしひしと伝わり、感銘を受けました。

郷土史講座ならではの学びと気づき

今回の講座を通して、普段何気なく眺めている昭和新山に、どれほどの歴史と物語が詰まっているのかを改めて知ることができました。

郷土の自然と人々の営みが重なり合ってできた風景を守り、次世代へ伝えていくために、三松家や火山マイスターの皆さんの活動があることを深く感じました。

火山の恵みを受け取りながら、火山と共に生き、そして"いざ"という時に備える知識を持つことの大切さを、また一つ学ぶ機会となりました。

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『ど根性白樺』。噴火で折れ曲がっても生き続ける特別な白樺に感銘しました。

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